道玄坂上の横断歩道
会社帰りにあるカップルの行動にキュンとした。
反対側にいる2人は、
赤信号が変わるのを待っていた。
彼氏はいつも通り彼女を見つけて微笑む。
彼女もまた彼氏を見つけて嬉しそうに笑い大きく手を振るのだ。
きっと彼氏にとってはいつものこと。
いつもの横断歩道で、いつものように青信号になった瞬間彼女は駆け寄ってきて、左腕に抱きつく。
「今日はどこにする?」
彼女は、仕事終わりいつだって腹ペコでご飯のことばかり話す。
飾らず、素直な彼女の会話の始め方は昔も今も変わらない。
そんな彼女の愛おしさを時間とともに忘れてしまった彼氏の怠惰で2人は別れてしまうのだろう。
そして彼は、仕事帰り。
いつもの横断歩道で、いつものように待ち侘びる彼女の姿のない赤信号を待つのだろう。